カリー作りの道具
業務用の道具が一番使いやすい

 料理ほどクリエイティブで面白く、成否が明らかになるものはない。

 呑み仲間を見ていて分かるのだが「酒好き男」の共通の傾向として、料理好きが多いことが挙げられる。酒好き男の嗜みのひとつが「料理」なのである。なぜなら、こだわりの酒にはこだわりの肴で、一杯呑みたいわけで、必然的に料理通となるのである。

 幸い我輩の場合、「男子、厨房に入るべし」という方針の父で、「料理さえできれば万が一のとき何とかなる」と我が姉弟を躾けた家に育った。戦前の父の言葉なので、かなりの経験を元に得た教えだろう。というよりも、父もかなりの料理好きだ。料理という楽しい世界を教えたかったのであろう。

 さて、その料理を作るための道具を妥協して買うと必ず損をする。

 料理道具にお金をかけるのは、経済的に余裕のある人だけだと耳にすることがある。国内有名ブランド業務用や世界的に知られる有名ブランドの道具を買うことは、果たして贅沢なことなのだろうか。

 確かに、キッチン用品はスーパーでも、100円ショップでも売っている。そういったところで買った道具は、つくりがペラペラですぐ駄目になる。

 近頃、「ライフサイクルコスト」という考え方に注目が集まりつつある。何のことはない、購入時の商品代金だけでなく、その道具を一生使う際にかかる全ての金額を計上して、トータルにかかる金額を見ることだ。
 必要最低限の本当に良いものを長く愛用していると、この"ライフサイクルコスト"は低くなる。業務用や世界的な有名ブランドの道具は「一生モノ」、親子3代が使うことができ、熱伝導効率も高く、実際、料理の失敗の回数が減るのである。

 世界のキッチンで認められる鍋で野菜を調理すると、野菜本来の甘みを味わえ、旨味を閉じ込めたり、無駄な油分を少なく調理するなど、それだけの意味と価値がある。
 これは贅沢な道具を使うというより、本来の料理の姿に近づく行為のはずだ。このような料理でてきた一品を味、香り、食感、噛み応え、盛り付けなど五感を全て使いながら、ゆっくり食事を楽しむ、本来、在るべき食文化ではないか。

 よい道具を使うということは、必要な贅沢だ。いや、むしろ積極的にするべきで、単純にTV、雑誌で宣伝されていて「欲しい」と惑わされず、自分の料理のレベルを認識し、よく見て、手にとって確かめ「自分の手の延長となる道具」を手に入れたい。

 奥から…スパイスを挽くために高遠の骨董屋で見つけた「薬研」。先が欠けているが、味わいと思って使っている。
 続いて何かと便利な「小型すり鉢」(左)、また理科教材店で買い求めた「乳鉢」(右)はナッツ類やココナッツなどをペーストにするとき使っている。一番手前のステンレスの「下し金」はナツメグやターメリックを下ろすときに使う。
 また、ジューサーミキサーもスパイスを挽くときに活躍する。
 一番奥の寸胴は24cm径の平和アルミ製AL-GOURMETシリーズ、手前左の24cm径寸胴と21cm径と18cm径の片手鍋がアカオアルミ製DONシリーズのもの。DONシリーズは蓋の取っ手がフラットで、鍋を重ねてしまうことができる。
 硬質アルミ素材の高級感あるヘアライン仕上げでありながら、業務用としてはリーズナブルな価格で業界では有名だ。
 レストランの厨房で必ず見ることができる。
 ちなみにチキンカリーを仕込むとき、2つの寸胴で2種類のルーをつくり、最後にブレンドして仕上げている。