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が山の散策を始めたのは育った環境にある
父が昆虫を研究する動物学者だったので、採集といえばついていって、小さな頃から野山を駆け回っていた。昆虫や植物の知識を得たはずなのだが、今では殆ど覚えていない…という親不孝ものである。しかし、山という環境の面白さを知り、興味を持ったのがこの時期なのだ。山で遊ばせてもらう−と大自然に感謝しながら里山歩きやアウトドアを楽しんでいる。


アトリエの近くを流れる「神川」。正面奥に見えるのが日本百名山の「四阿山(2354m)」の頂だ。支流には「渋沢川」、「和熊川」などがあり水が美味い。
渋沢川の上流、滝の入り沢の水は酒造りにも使われている名水。また、アトリエがある大日向の自慢として「水が美味いでしょ」というのがある。ここの簡易水道は和熊川水系のものだ。

しいかどうか…
私の記憶では1970年代の終わりに、第1次アウトドアブームが起こったと思っている。それまで高校や大学にあった山岳部やワンゲル部は、なかなか硬派なイメージで「キャンプ」という言葉よりも「野営」という表現がピッタリだった。
アウトドアという言葉が出てきて、軟派な山屋というカテゴリーが誕生した。まぁ、一種の大衆化かもしれないが…。ウエアもファッショナブルになり、米国から輸入されていたランタンやストーブなども、リーズナブルな値段になった。
そして、里山や高原でトレッキングやキャンプを楽しんだり、ハンググライダーなどの空への冒険、湖や渓流ではフライフィッシング、ルアーフィッシングを楽しむなど、いろいろな形で「山を楽しむ」暮らしが流行し始めたのだ。
バブルが崩壊すると、旅行の「安近短」というキーワードに乗り、オートキャンプに火がつきアウトドアブームが爆発する。そして、今では高齢者の登山ブームとなっている。野点珈琲はお手軽なアウトドアのひとつなのだ。

とんどの水は沸騰させれば飲める
野点珈琲を楽しむときは、美味しい水を探し出す少々の知識と判断が必要になる。必ず地図を見て、上流方面に集落や牧場などがあるかどうかをチェックする。また、地元取材で酒造りに使われている水などを探したり、いくら良い流れでも戦前に鉱山があったかどうかなどの話を集めたい。そんなに心配しなくても、川虫と渓流魚が棲んでいれば問題ないが…。
入門では、湧水など名水を調べて県内各地を歩くのもいいだろう。
渓谷の上流に入る場合は、長袖のシャツで帽子をかぶり、靴はフィールドブーツを、そして、2万5千分の1の白地図・温度計・コンパス・熊鈴なども持っていきたい。

て、「野点珈琲道」の道具を紹介しよう
今日ではアウトドアの道具も安いので、一式、買い求めても1万5千円ぐらいではないだろうか。夫婦や家族の山菜狩りやキノコ狩りで珈琲を点てれば、アウトドアの楽しみの幅が広がる。家族分のチェアを増やせば、フィールドでの会話が弾むはずだ。

丸太の上に載っているのが「野点珈琲バック」だ。

後ろは、左から「ウォーター・タンク」、「クーラーボックス」、「折畳みチェア」(軽く、小さく収納でき丈夫なものを選ぼう)である。
ウォーター・タンク

感動するほど美味い水は、このタンクで持って帰り、お茶を淹れ、ご飯を炊く。蛇口付のものが重宝だ。

クーラーボックス

テーブル代わりになり水も汲める。保冷剤を入れていけば山菜やキノコ、渓流魚を採ったときに便利。大きい必要はないので使いやすいものを選ぶ。


←蓋を裏返すとコップトレーが付いているタイプ。
「野点珈琲バック」に入っている道具

@革グローブ(安物は避け、柔らかく縫製の良いものを選ぼう)
A雨具(私は簡易ポンチョを使っている)
B救急セット(切り傷や火傷などに備え、必ず携行すること)
Cスーパーの袋(ごみ用)
D珈琲ろ紙(ペーパーフィルター102タイプ)
Eウオータープルーフ・マッチケース(ウオータープルーフのローマッチが入っている)
Fガソリン・コンロ(コンロと燃料タンクのセパレートタイプ)
Gポット(ホーローのものを長年使っている)
H挽いた珈琲(普通のローストとハイ・ローストの2種類を持っていき、水によって使い分けている)
I珈琲カップ(ホーローのものを長年使っている)
Jドリッパー(アウトドア用はこのようなスプリングタイプだ)

私が使っているコンロ(数種類を使い分けている)

@PRIMUSというメーカーの高カロリー・コンパクト・タイプ(セパレートタイプ・ガソリンコンロ)
AEPIというメーカーのガスカートリッジ・タイプのコンロ(カートリッジには460gと225gの2種類がある。写真は長時間用の460gタイプ)
BColemanのガソリン・コンロ(コールマンはご存知だろう。一般的なモデルで入門用)
CColemanのセパレートタイプのガソリン・コンロ(このタイプはメンテナンスの知識が必要だ)

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−序− 野点珈琲道とは

める道は…
各地の名水を楽しむのはもちろん、その土地の風景、文化、歴史を肌で感じることである。訪れた先では人々との出会いがあり、地元で愛される菓子を探す。美味しい水が何故守られてきたのかを知り、感謝する気持ちを込めて、水を味わう小さな旅なのだ。
例えば、自然に湧く名水の殆どは地域の信仰と関連し、近くに神社仏閣が佇んでいることがある。如何に水が大切だったかを物語っている。山紫水明、先人たちが残してきた里山の風景は、神々が宿っているその土地本来の自然遺産なのである。自然から知識や知恵を見出し、里山と共生し文化・歴史を育んできたのだ。
山で遊ばせてもらう−と真摯に思いつつ、全身の感覚で水を飲み、自然と歴史に感謝しながら珈琲を点て、里山歩きやアウトドアを楽しむ。これが野点珈琲の求める道である。

点という以上、風景の中の一部になって珈琲を淹れたい
これといって作法はないが、使い込むほど年代が付く、お気に入りのポットやカップ、コンロを使い、ペーパーフィルターでじっくり淹れるスタイルを守ろう。野点珈琲バックに入っている道具たちは、茶道でいうお道具なので、よく吟味して選びたい。パーコレーターや珈琲パックなどは使わないのである。なぜなら、大自然の大切な水を味わうには、少々、簡略すぎるからなのだ。いい水が湧く現場で珈琲を淹れるというプロセスは、ある種面倒くさい文化的な行為でなければならない。

野点珈琲道家元
州庵の「信州”水”紀行」