「ふつうの呑み会」普通じゃないな…
  2004-10-21 ふつうの食堂・きらく(長野市三輪)にて

東洋美人 ひやおろし 純米吟醸/山口県の澄川酒造場の酒で、透明感があり、しっかりと芯の通った味。 大信州 厳選純米酒/「生しぼり」ならではのフレッシュさとともに、本来持っている、柔かな甘味と上品な酸味、そしてまろやかな渋味。 東一 純米吟醸/完成度が非常に高く、迫力のある味わい。米の風味を最大限に生かし、丸みがあり、伸びやかな旨味。 天法 純米吟醸13BY/晩酌日記でもお馴染み。綺麗で透明感の中にふくらみのある味わい、柔らかな酸がキレの良さ、13BYならではの旨味。 杉錦 特別本醸造/静岡県は藤枝市の造り酒屋。その昔、市立博物館の仕事で通ったが、出合わず。淡麗辛口、喉越し爽やか。

●今回の居酒屋と我輩の若き相棒
 新企画「居酒屋紀行」の栄光の第1回は、長野市三輪にある「ふつうの食堂・きらく」だ。
 3年ほど前、この店で月刊情報誌KURA創刊の内々の打ち上げがあって、味へのこだわり、地元食材を愛する料理への姿勢、地酒の豊富さに驚いた。
 私のような凡人は「ふつうの食堂」と看板にあると、「普通じゃないぞ ! これは…」と気構えてしまうが、冗談ではなく、出てくる料理全てが「小料理屋」と思ってしまうほど美味いのだ。アットホームな雰囲気は本物の「ふつうの食堂」で、これは人情味あふれる若きご主人・奥山博久氏、その奥様とお母さんの人格そのものなのだろう。
 「普通ではない」ことといえば、奥山氏の酒や味への探求心、経験に基づく知識の深さであろう。その証拠にTVや雑誌の地酒やグルメ特集に、奥山氏や奥様が登場するのである。
 この店の常連に、某TV局グループカンパニーのイベントプロモーターの中村一也氏がいる。その昔、KURAで私の担当編集者をしていた一本筋の通った男である。以前、松本の取材に同行し、それ以来、息が合う若き呑み仲間なのだ。
 一見、柔和な物腰なのだが、なかなか頑固なところもあり、地酒や味覚への好奇心と実際に試みる姿勢、知識の広さは、そんじょそこらの同年代とは比べ物にならない。呑みながらの歓談も、様々な新企画が飛び出し、楽しく心地よい一時となるのである。元高校球児で、大学野球でキャッチャーとして活躍していたと聞いたことがあるが、体格を見れば頷ける。一升瓶を持たせたら実に様になる男で、酒豪なのだ。
 我がホームページの「晩酌日記・今宵の酒」に投稿する「元編集者」は彼のHNで、この新企画「居酒屋紀行」は、中村一也氏との「呑んだくれ紀行」となるはずである。
 ところで、私はここ数年、骨董の瀬戸や陶芸家・水野英雄氏の徳利、陶芸家・奈良千秋氏の白磁片口、骨董・松代焼片口などと、手元にいろいろあるぐい呑みで、チビチビと酒を楽しんでいる。摂取量も本当に少なくなった。しかしながら、相棒の中村氏は若い上、酒が強い強い。コップ酒時代の現役と酌む(組む)のだが、これからどうなることやら…。

「ふつうの食堂 きらく」長野市三輪 (026)241-3622

●本日の料理
 おでん(丁寧に煮込みされた絶品)。イナゴの佃煮(ベタベタせず歯ざわりがいいと思ったら自家製とのこと)。アンキモの醤油煮(絶妙な味付けの逸品)。お浸し。酢豚風ミートボール。揚げ物…他

若き店主・奥山氏と今回の幹事・中村氏は、「中ちゃん」、「お兄ちゃん」と呼ぶ仲
漫画本の向うには、日本酒ファンの心を鷲掴みにする冷蔵ショーケースがあり、美しく旨い地酒が沢山詰まっている。

●本日の呑み会・参加者
幹事/中村一也氏。某TV局グループカンパニーのイベントプロモーター
一部参加/北沢房子女史。長野市在住のフリーライター。ここ数年、我輩と「信州休日の社寺巡り」など一緒に仕事をしている。
途中参加/山口美緒女史。中村氏の呑み仲間で某出版の雑誌編集者
我輩/真田の山奥に住む「州庵」こと安藤州平

美味しいものや旨い酒があると風のように現れる北沢女史。久々に呑むという中村氏もご満悦
何やら…ルーツが佐久地方と意気投合の山口女史と北沢女史
●前半戦に登場した日本酒

●進行状況
19時過ぎ「きらく」に到着するが、既に中村氏は先着し、奥山一家と和気藹々だった。
19時30分頃、私の携帯電話が鳴る。長野市在住のフリーライター・北沢房子女史から次週の社寺取材の業務連絡だった。が、結果、この宴会の場に電話1本入れてしまって突然参加となる。電話での中村氏の「お待ちしていま〜す」と、我輩のレポート「きらく食堂特製のおでんやアンキモのしょうゆ煮、自家製のイナゴの佃煮…」に引っ掛かった模様。
20時頃、北沢女史到着。既にこの時点で5銘柄の日本酒を頂く。
21時前、山口女史到着。お互い噂で知っていた北沢女史と山口女史が意気投合。暫くして、北沢女史が撤退。この頃から我輩の記憶が飛び飛びとなる。話題は日本酒、蕎麦、メディア論、まちおこしなど多岐にわたる。
この頃、中村氏が良く使う日本酒の表現「軟派な酒」について討議となる。
奥山氏のアクセルが吹き上がってきたのか…日本酒の銘柄が次々と登場する。
22時30分頃、奥山氏の提案により二次会へ行くことになるが、既に、我輩は出来上がってしまう。移動するため車に荷物を置きに行った時点で、完全に記憶がなくなる。気が付けば「きらく」の駐車場で朝を迎えてしまった。

●後半戦に登場した日本酒
※酒レポートは中村氏に依頼。なぜなら我輩は既にこの頃「一丁あがり」状態
旨い酒と料理に囲まれる至福のひと時
日本酒を勉強中という山口女史
「軟派な酒」という定義について語る中村氏。なぜか背後でスーパードライを持ってポーズをとる奥山氏…素晴らしいキャラの持ち主である

●今回の「発見」と「お笑い」
1/やはり「ふつうの食堂 きらく」は普通じゃなかった !
ほんの数時間で日本中の旨い酒に囲まれた。しかも、絶品の肴と共に…。そして、写真からも分かると思うが、店の主人・奥山氏の愛嬌あるキャラクターと素晴らしいサービス精神に脱帽。酒を愛する人物なのである。

2/旨い酒と料理があると「風」のように現れる北沢女史

たった1本の業務連絡の電話で、この酒宴の状況を察知し、一瞬にして現れ、風のように去っていった北沢女史。その行動力とグルメ探求心に敬服する。

3/「酒豪の呑み仲間」は、やはり酒が強い ? 日本酒勉強中の山口女史
日本酒を勉強中という山口女史は、なかなか「呑める口」と判断してしまう。この席で北沢女史と呑むことができて収穫だった模様である。ちなみに「北沢さんって素敵な方ぁ〜」とのこと。

4/中村氏が良く使う日本酒の表現「軟派な酒」について

彼がこの表現を使うに至るには、私が良く使う表現の「骨っぽい酒」などが影響したのではと思い、いろいろと話をしていた。
翌日、BBSに中村氏からの書込みで『"軟派な酒"という表現について再考してみまして、やはり誤っているのではないかと思い、たとえば"女性っぽい酒"とか、"艶やかな酒"などの方がしっくりくるかなと。これなら"骨太な酒"とか"実直な酒"といった表現とも対比が可能になってきますかね。』があった。
私がいない2次会のテーマは、このことが主題だったのではないか?

5/我輩の「朝帰り」ならぬ「昼帰り」
きらくの駐車場で一泊してしまった後、朝一から篠ノ井の免許センターで免許の書き換えをする。真田に帰ろうと思い、松代の地蔵峠に向かうが台風23号の災害で通行止め。然らばと思い、県道長野菅平線(保科温泉から上る峠道)へと向かう。が、こちらも通行止めで途方にくれていると、あるコンサルから電話が入る。10時過ぎからTV信州前の喫茶店で打ち合わせとなり、結局、昼過ぎに真田のアトリエへの帰路に着く。途中、須坂長野東インター近くで緑のパジェロミニを駆ってぽわ〜と走りすぎる美しきフリーアナウンサーS井女史とすれ違い、13時過ぎアトリエに到着。
メールで各方面にお礼を入れると、「奥山氏が二次会に向かう前、安藤さんの熟睡を確認しておりましたので、何も心配なく二次会を楽しみました」と山口女史から返信…。
どうやら、居酒屋紀行の第1回は、またまたテイタラクな話であった。



●今回の「反省」 その後、相棒とのメールのやり取りで…
我輩から中村氏へ
お世話様です。先日の呑み会をHP内にUPしました。題して「居酒屋紀行/第1回 ふつうの呑み会 きらく編」です。それと、「惣邑」「翠露・雄町」「磯自慢」「山鶴」「東の麓」の楽しいレポートをお願いします。ヨッパラって覚えていないので…。
中村氏から我輩へ
原稿は、できるだけ早めに入稿します。(緊張しますが…)
私も結構飲んでいたので、もう一度きらくで利いてこないと書けないかもしれません。(^^;
これからの取材(?)も、あまり飲み過ぎるとその分原稿が増えるということでしょうか。(^^;
取材メモとりながらでないとヤバいですね。
我輩から中村氏へ
忙しい中、ありがとうね。仕事の合間に原稿を書いて頂くとは…、涙ものであります。
ご指摘のとおり、取材(?)は飲み過ぎは禁物かも(大笑)ね。
実は、私も奇跡と思ってまして…なぜなら、あそこまで酔っ払いながら全てビジュアルを押さえていたという事実に。
メモは取らなくても、味について議論をしておかないと…思い出せませんなぁ。


居酒屋紀行/第1回
惣邑(そうむら) 純米吟醸/山形県長井市・長沼酒造 「十四代」でその名が知れる高木顕統氏の父上で、高木酒造社長の高木辰五郎氏(ちなみに、この方が14代目当主なので、「十四代」とは顕統氏ではなく、辰五郎氏のことなんでしょうか...)が、この酒の名付け親。その辰五郎氏が18年間かけて生み出した酒造好適米「羽州誉」を使って醸している。年間100俵しか穫れないという米なので、当然ながら製造量も限られたものだろう。実は、去年の秋、運良く手に入ったので飲んだことがあった。・・・だが、正直言うと、あまり自分好みでなく、いささか期待の方が上回っていたというのが、この酒に対する記憶だった。同じ純米吟醸ながらも「秋あがり」との肩ラベルが貼られていたので、いわゆる"ひやおろし"だったのだが、もしかすると"秋下がり"してしまっていたのかもしれない。しかし、この日飲んだ「惣邑」は、私の記憶とは全く違っていた。派手な香りやふくらみがあるというわけではないが、端正な旨さを感じたのである。同じ米、同じ水、同じ造りの酒でも、搾りのタイミングやタンクの違い、熟成期間などで味が変わってくるというが、だからこそ日本酒は面白い! んっ?それとも美女の隣で飲んでいたから旨かったのかもしれない!?
翠露 雄町 純米吟醸無濾過生原酒/晩酌日記でお馴染みの翠露 信州地酒の中で好きな銘柄のひとつで、芳醇な香りがこの銘柄に対する私の印象だ。なかでも、水色の瓶が見た目にも爽やかな「純米吟醸 雄町 中取り」は、某地元情報誌で日本酒特集を企画した際、編集部の女性スタッフたちに一番人気があったという記憶がある。私はあまり酒を「辛い」「甘い」と分類するのが下手なのだが(「辛い」「甘い」というと、どうしても「唐辛子」とか「砂糖」などの味感覚にあてはめてしまって・・・)、おそらく世間では「甘い」といわれる部類ではないかと思う。ふくよかな香りがボディの旨みを包み込み、どちらかといえば「清楚」というより「麗容」な女性のイメージだ。蔵元自体としても、ロングセラーブランド「舞姫」に加え、新たな市場=女性客を獲得するために「翠露」を造ったという話を聞いたことがある。この日飲んだ「無濾過生原酒」は、名前からすると「中取り」と同じ造りの酒なのだろうか。そのあたりは確認していないので、酒雀氏などに聞いてみたいと思うが、「中取り」よりもさらに旨みが濃いような印象があったので、そんな気がする(違っていたらご容赦ください)。近年、無濾過や生原酒を楽しめる機会が増え、そういったタイプが好きな者としては嬉しい限りだ。同じ県内にある某蔵の「無濾過生原酒」はコストパフォーマンスもよく、しばしば"今宵の酒"にさせてもらっている。だが、州庵殿が好む山廃造りやき元造りの酒に比べると、やはり"軟派"なのかもしれない。いずれそのうち、自分も"硬派"な酒が似合う男になれるのだろうか…。
磯自慢 本醸造 低温貯蔵酒/静岡県焼津市・磯自慢酒造 これまた今まで出会った日本酒の中で、最も好きな銘柄のひとつだ。実際旨いし、有名銘柄であることもあるが、思い入れの強さには理由がある。というのも、かれこれ3年前の冬、某誌酒蔵企画の取材で伺わせてもらったゆえだ。その際、同蔵・T岡専務に宴の席をもうけていただき、なんとその日に搾ったばかりでまだ出荷前の限定酒を囲ませてもらったのだが、これが衝撃的に旨かった。フレッシュな香り、すっきり感と奥行きのバランスのとれた旨み、喉を越した後の余韻、どれをとっても完璧だったと思う。以来、たとえミーハーと言われようと、自身の中で「磯自慢」は好きな銘柄ランクのトップグループに入ってしまうのだ。この日飲んだ「本醸造 低温貯蔵酒」も、非常にバランスのいい優等生タイプと思う。きっとどんな料理と合わせても心地よいハーモニーを奏でてくれるに違いない。もちろん「きらく」自慢の冷やし中華とも抜群の相性だ。
山鶴 特別純米酒/奈良県生駒市・中山酒造店 私とて、日本酒なら何でも誉めるというわけではない。それどころか、世の中で最もまずい酒は日本酒だと思っている。ただ、自分が最も旨いと感じるのも日本酒だというだけだ。・・・なんて書き始めると、この「山鶴」はまずかったのかと誤解されてしまうかもしれないが、決してそういうわけではない。口に含んだ時の感触はまずまず良かったのだが、若干後味に苦みを感じたのである。もちろん、この苦みを好む人もいることだろう。酒の味が千変万化なら、人の好みも十人十色。丹誠込めてつくったものなら、きっと心を動かされる人がいるはずだ。ただ、大手酒類メーカーなどが製造しているパック日本酒が人の心を感動させるとは思えない。安値、便利、手軽といった理由で購入する人がいるのは否定できないが、そこに"本物"はないだろう。…おっと、だいぶ州庵節に似てきたかな。
東の麓 純米大吟醸 生詰/山形県南陽市・山栄遠藤酒造 ここまでくると、もう記憶がかなり薄れているので、その辺りは何卒ご容赦いただきたい。味の印象などはまったくスッ飛んでしまっているのだが(^^;、「あぁ、いいですね」と感想を述べたのはうっすら憶えている。今度出会ったら、謹んで飲ませていただこうと思う(反省)。